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最高裁判所第三小法廷 昭和28年(オ)1220号 判決 1954年2月23日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人今井庸夫の上告理由は末尾に添えた書面記載のとおりであり、これに対して当裁判所は次のように判断する。

上告理由第一点について。

論旨は、原判決が、公職選挙法二四条の関係人を狭く解し、上告人は名簿に関する異議申立人でもなく関係人でもないから、本訴を提起することができないと判示したのは、違法であるというに帰する。

しかし、公職選挙法二三条二項は「……その申立を正当であると決定したときは、直ちに基本選挙人名簿を修正し、その旨を申立人及び関係人に通知し」と規定してあり、右の「関係人」が、広く選挙人全般を指すものでなく、当該脱漏、誤載の関係人であることは明白である。同法二四条は右の規定を受けて、申立人及び関係人に訴訟提起の途を開いているのであるから、同条の「関係人」も脱漏、誤載の関係人を指すものと解すべく、上告人のように選挙人であるというだけでは、「関係人」ということはできない。原判決が、上告人が本訴を提起することができないとしたのは正当である。いわゆる民衆争訟に属する選挙争訟、当選争訟については公職選挙法二〇三条及び二〇七条は「……決定又は裁決に不服がある者」と規定し、地方自治法七四条の二第八項(直接請求の署名簿の効力に関する訴訟の規定)が「……決定に不服がある者」と規定しているのと対比するも、公職選挙法二四条の「関係人」が、上告人所論のような広い意味を持つものとは解せられない。論旨は理由がない。

上告理由第二点について。

論旨は、上告人が選挙管理委員会委員であるが故に関係人であるというのであるが、上告人独自の見解であつて採用することはできない。

上告理由第三点について。

論旨は、本訴にいたるまでの事情を述べるに過ぎず、原判決の違法を主張するものではないから、適法な上告理由とならない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、全裁判官一致の意見をもつて、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三)

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